鍋好きの理由。
私ね、365日。
「鍋」でもいいくらい。
鍋料理が好きです。
それは、準備がラクだからってのも
モチロンあるんですが。。
それ以上に、わが家には「絶品ポン酢」があるからなのです^^
*
「俺、お父さんの事、昔、料理人だと思ってた」
と、夫がそんな風に言うほど
娘の私が厳し目で評価しても
父の料理センスは抜群。
プロの料理人にも引けを取らないくらい
味覚はもちろん。
その技術、その知識・・・・。
いったい、どこで覚えたのかな?
と、ほんと不思議になるくらいの人でした。
そんな父が毎年作っていた自家製ポン酢。
全国から選りすぐりの食材を取り寄せては、
完成させた絶品のポン酢なんですけどね。
私の何倍もコダワリが強かった父・・・。
実家の離れの部屋には、壺(瓶)が幾つも並べられ。笑
A・B・C・D・Eと
それぞれ微妙に配合を変えては
どれが一番が美味しいかと、日々、研究に研究を重ねていたんですね。
そうして出来上がった自家製ポン酢は
もう、それはそれは絶品で・・・
特に「ふぐチリ」によくあう
私の大好きなポン酢だったのです。
*
そんなポン酢をね
父の友人らにも振る舞っていたんですけど。
そしたら、当然ながら「おいしい!」となる訳です。
で、そのうち「自分で作ってみたい。教えて欲しい」
とみんな言い始めるんですけど、もちろん、父は快諾。
私が10代の頃だったかな?
「ポン酢の作り方を友人らに教えてあげるから
手書きのレシピをワープロで綺麗に打ち直してくれないか?」
と、父が私に頼んで来たんです。
「いいよ♪」と気軽にOKしたのですが
その原本を見て私は焦ったのです。
なぜなら、材料の仕入れ先から、段取りから、
全て事細かく、何一つ隠すことなく、黄金の秘密が書かれてあったから。
そのレシピのタイトルは
「シゲちゃんの秘伝のポン酢」だったんですけど。
その名の通り、秘伝の配合が全てがそこにあったのです。
私は、父が研究に研究を重ね、
そこに辿り着くまでにお金もいっぱい使い、
苦労して作り上げてきてるのを知ってたから
そんな簡単にレシピを渡しちゃっていいの?
って、かーなり動揺したんですね。
そして、ケチ根性が顔を出し
「ここまで教えなくてもいいんちゃうん?
勿体無いやん!」と、父に言ったんです。
そしたら、父は…
「かまへん。かまへん。全然問題ない。
みんなが旨いポン酢を作れたらいいやないか^^」
笑ってそう答えたのです。
うちの父は、本当に出し惜しみをしない人で
「使ってる材料とか、やましいことは何もないから
全てに自信があるから、全部公開できる」とも、よく言っていたんですけど^^
何より、周りを喜ばせること。
周りに幸せを与えることが大好きな人だったんです。
*
でね、父の友人らはすごーく喜んで
その黄金レシピを手にし、実際、何度も作っていました。
その様子を見て、父はとっても嬉しそうだったんですね。
でも、当時の私には
その父の精神が理解できなくて、、
ちょいと人が良すぎるんじゃないの?
と、感じていたのでした。
そんな中、しばらくして
面白い現象が起こったのです。
その自分で作ってた父の友人たちがね
「やっぱり、あの味は
どーしてもシゲちゃんにしか出せないわ^^;」
と、父のポン酢が恋しくなって
売ってくれないか?と頼んできたのです。
その様子を見て、当時の私は気づいたんです。
どんなに真似して作っても、
どんなに完全再現しても、
その人の味は、その人にしかできない。
同じものを作る事なんてできないんだなぁ。
っていうこと。
そして、「企業秘密になんかにする必要ない」
と、父がレシピを堂々と公開していた意味が
何と無く分かった気がしたのでした。
もちろん、父の思いの根底には
「最高のレシピだからこそ
一人でも多くの人に知ってもらいたい」
そういう気持ちだったと思うんですけどね。
*
私は、その大切なことを理解できるまでには
すごーく時間がかかりましてね^^;
自分の知識や経験、苦労して手に入れたものだからこそ
「全部自分の手柄にしたい」
独り占めにしたい!
どこかに、そんな気持ちがありました^^;
でも、いつ頃からか
そんな気持ちもふっと飛んで行ってね。
さすがに父の精神までは達してないですけど。
「私の今まで培った知識や技術は
全部惜しみなく伝授するから♪」
と、思えるようになってから
生きるのがより楽しくなったし
気持ちがラクになったんですよね。
何より素敵な人が周りに集まってくれるようになった。
…そんな風に感じるのです。
*
「おっ!さすが、お父さんの娘ですね!!」
と、父に似てるって夫に言われるたびに
なんだか誇らしげに感じる今日この頃。笑
【追記】
しげちゃんの秘伝のポン酢。
亡き父がレシピを残していてくれていたのですが
父の字を見たら涙が出てくるので、私はずーっと見れなかったんですね。
なので、秘伝のポン酢は母が引き継いで作っていたんですけど。
モチロン、気持ちが落ち着いたら
レシピを引き継ごうと思っていたんです。
が、何年前だったかな?
母が間違えて父のレシピを捨ててしまって。。。^^;
結局、私は、そのポン酢を一度も作らずじまいで終わってしまいました。
でね、今は、父の味と母のアレンジがミックスされた
新生ポン酢になってるんですけど。笑
これもまぁ、なかなかのお味で。
今度は夫が、その味を引き継ぎたいらしく…
ハリキッテいる。
いつになるかは分からないけど。
その日が来るかは未定だけど。笑
夫レシピが完成したら、レッスンでも
お伝えしたいなぁと思っています。
ちなみに夫も、父同様
出し惜しみのまーったく無い人なのです^^